ライドシェアが日本で解禁!?現役タクシードライバーが徹底解説!

ライドシェアが日本で解禁!?現役タクシードライバーが徹底解説! 未分類

ついに日本でもライドシェア解禁が叫ばれるようになってきました。

あなたは日本におけるライドシェア解禁に賛成ですか、反対ですか?

私はタクシードライバーをしている立場なので、ライドシェアが解禁されると間違いなく営収(売上)が 減り生活できなくなるかもしれないので反対の立場です。

しかし、世の中の風潮として「早くライドシェアを解禁しろ!」という声の方が大きいので、一度フラットな立場でライドシェアについて考えてみようと思いました。

実際にお客さまをお乗せして公道を走っている経験から、現場目線のライドシェアのメリット・デメリットについても率直に書かせて頂きます。

ちなみに、私は東京23区と武蔵野・三鷹地域のタクシー会社に所属しているので、当記事は東京における交通事情・現状、ライドシェアに対する見解になります。

ライドシェアとはどのようなサービスなのか

ライドシェアとはどのようなサービスなのか

ライドシェアとは、タクシー会社に所属しているドライバーではなく、個人が同じ方向に向かう人々を自家用車に乗せるサービスです。

スマホのアプリでドライバーと利用者をマッチングさせるので使い勝手が良く便利です。

ライドシェアは、自分が車で移動するときに開いている座席を他の人に提供して報酬を得るので、ドライバーはガソリン代などの経費負担が減り、利用者は安価な料金で移動することができる双方にメリットがあるサービスです。

これまでライドシェアが禁止されていた背景

これまでライドシェアが禁止されていた背景

これまで日本でライドシェアが禁止されていた理由は以下の通りです。

タクシー業界の保護

1つ目は、既存の交通手段であるタクシー業界の保護です。

ライドシェアの導入はタクシー業界に大打撃を与えるリスクがあるため、タクシー業界の保護を目的として規制が設けられてきました。

安全性の問題

2つ目は、安全性の問題です。

利用者とドライバーがアプリを介してマッチングされるライドシェアでは、身元の分からない初対面同士であるため、どうしても安全性への懸念が存在します。

実際、ライドシェア関連の事件も発生しており、それによりライドシェアの規制が生まれました。

税金の問題

3つ目は、税金の問題です。

ライドシェアは利用料のやり取りを個人間で完結することができるので、「カード決済ではなく、現金払いなら少し安くしますよ」というようなこともできてしまいます。

また、チップなどを全て把握して課税するのは不可能です。

ただ、これに関してはライドシェアのアプリ運営会社が例外を認めないような仕組みにしてしまえばチップ以外の問題は解決するので、今後のライドシェア解禁の足枷にはならないでしょう。

ライドシェア解禁について

ここからは、ライドシェア解禁についての現状などについてまとめてみました。

誰がライドシェア解禁と言っているか

日本でライドシェア解禁について浮上したのは、2023年9月7日に仙台市で開かれた観光をテーマにした講演会で、菅前総理が「ライドシェア」の解禁に踏み込んだのがきっかけと言われています。

その他にも、小泉新次郎議員、河野太郎議員、松野博一議員、黒岩裕治知事などの政治家、橋下徹弁護士、堀江貴文氏などもライドシェア解禁派として声をあげています。

その中でも、やはり仕事が早い菅さんがライドシェア解禁について言及しているのは注目すべきことでしょう。

実際、岸田首相も「ライドシェアを最優先事項のひとつ」にあげています。

実は、ライドシェアは既に解禁されている!?

実は、ライドシェアは既に解禁されている!?

ライドシェア解禁が叫ばれていますが、実はライドシェアサービスのUberは日本に進出してビジネスを展開しています。

でも、「知り合いでライドシェアやっているって人なんて聞いたことないけど…」と思っていませんか?

実は、現在(当記事執筆時)はUberは個人に解禁されていませんが、日の丸交通というタクシー会社がUberと業務提携して東京23区と武蔵野・三鷹地域でUberのサービスを既に提供しているんです。

Uber Newsroom

ライドシェア解禁のメリット・デメリット

ここからは、日本でライドシェアが解禁されたときのメリットとデメリットについてまとめてみました!

ライドシェア解禁のメリット

交通渋滞の軽減

ライドシェアによってドライバーと利用者が車を共有することにより、公道の車両数が減り交通渋滞が減る可能性がある

環境への貢献

車の共有することで排出ガスの削減につながり環境への負担が減ります。電気自動車やハイブリッド車を使用することで更に環境に優しくなるでしょう。

新たな雇用機会

ライドシェアサービスの普及すると運転で稼ぐことができる人が増えて新たな雇用機会が生まれます。副業やフリーランスの選択肢が増えます。

利用者のコスト削減

自家用車の購入費用や維持費用に比べて、ライドシェアは利用者にとって車に関するコスト削減に繋がります。

効率的な移動

ライドシェアはスマホアプリを通じて簡単に利用することができます。出発地や目的を登録する必要があるので車が来てから迅速に移動できるだけなく、事前にクレジットカード払いなどの決済方法の登録もしてあるので、降車する際の支払いなどの手間もありません。

ライドシェア解禁のデメリット

安全性の懸念

ライドシェアは相手の素性が分からない初対面同士をマッチングさせるため、どうしても安全性に関する懸念があります。実際に事件やトラブルが起きています。

競合による伝統的な交通業界への影響

ライドシェアの普及が進めば進むほど、既存のタクシーやバスの収益に悪影響を及ぼし、公共交通機関の衰退に拍車をかけることになります。

労働条件の不安定さ

ライドシェアのドライバーは社員や派遣ではなくフリーランスなので労働条件が悪く収入が不安定です。

規制の課題

ライドシェア解禁のためには、政府や関係事業者などとの調整が必要で、既存の法律や規制を変える必要があり、日本において理想的なライドシェア環境が整えられるかどうかに疑問が残ります。

地域格差

ライドシェアは地域格差を広げる懸念があります。例えば、利用者が少ないため「本当に移動手段が必要な地方でサービスが広まらない」という可能性が高いです。

ライドシェアを禁止している国も多い

日本でライドシェア解禁が叫ばれていますが、一方で諸外国のライドシェア事情はどうなっているのでしょうか。

この記事を書くにあたり調べてみたら、2023年9月21日現在でOECD加盟国38ヵ国中30ヵ国がライドシェアを禁止、EU加盟国に関しても欧州司法裁判所の判決により、フランスやドイツをはじめとした17ヵ国がライドシェアを禁止しています。

このような現状の中、何でも後手後手で新しいことに対して二の足を踏む日本において、政治家などが「ライドシェア解禁!」と声をあげ始めた裏には「何かある」としか思えません。

現役タクシードライバーのライドシェア解禁に対する見解

現役タクシードライバーのライドシェア解禁に対する見解

最後は、現役タクシードライバーとして東京の公道を実際に走って現場を見ている立場から、ライドシェアについて思うところを率直に書いてみます。

ライドシェア解禁の前にやることがあるのではないか

現役のタクシードライバーとして、一番最初に言いたいことは「ライドシェア解禁の前にやるべきことがあるのでは!?」です。

確かに京都などの人気観光地などでは慢性的にタクシーが足りないという現状があるのかもしれません。

しかし、私が所属しているタクシー会社のテリトリーである東京23区と武蔵野・三鷹地域では、季節・天気・時間・イベントなどの状況などが原因で局地的にタクシー不足が起こることはあっても、「1日中休む暇がないほどお客さまが途切れない」なんてことはありません。

また、人口密度が高い東京の中でも最も人が集まる新宿や渋谷の中心部でも、常に空車のタクシーだらけでお客さまの奪い合い状態です。

もし、「タクシーが足りていない」と本気で思っているのであれば、新宿・渋谷・西麻布・六本木・銀座に行って現状を見てください。

タクシー乗り場や路上に駐車しているタクシー、走り回っているタクシーも空車だらけですから。

更に、大手、準大手のタクシー会社では、コロナ後にドライバーを増やすべく恐ろしい勢いでドライバーを増やし続けています。

現場にいる人間としては、「そんなにタクシードライバーを増やして大丈夫?」と心配になるレベルです。(とある会社では、デビュー前の研修生が150人、本社が対応しきれず研修スタートを待っている自宅待機の人が100名以上いるという状況)

ですから、空車のタクシーを無くした上で、それでもタクシーが足りてないのであれば「ライドシェア解禁」に踏み切ればいいのではないでしょうか。

ライドシェアはドライバーのメリットを考えたサービスではない

今回、当記事を書くにあたってライドシェアについて調べたら、ライドシェアは以下のようなことを実現するためのサービスだということに気が付きました。

  • 複数人が車両を共有して移動することで、交通渋滞や排出ガス削減を実現する
  • 利用者がタクシーなどの公共交通機関より安価で移動することを可能にする
  • スマホアプリを使うことで、予約、目的地までの経路が明確になる、料金の精算などが効率的になる

一方、ドライバーにとって、ライドシェアは以下のようなサービスです。

  • 何の保証もないフリーランスという雇用体系
  • 不安定な収入
  • 重大事故による人生終了のリスク
  • 違反によって免許を失うリスク
  • クレーマー客や強盗などのトラブルに自分だけで対応しなければならない
  • 自動車購入・維持費、ガソリン代などの経費など、持ち出しが多い

自分がタクシードライバーだから都合の良い情報をあげたわけではありません。

実際、ライドシェアが解禁され、タクシー業界が大打撃を受けた場合、自分はタクシードライバーの経験を活かしてライドシェアをやろうと思っています。

しかし、どう考えてもライドシェアだけで生活費を稼ぐようなことは出来ないし、リスクが高いとしか思えないんです。

ですから、ライドシェア解禁は「利用者」や「環境」、「ライドシェア運営会社」にとっては良いことなんでしょうけど、ドライバーにとってはリスクが高いわりに稼げない仕事でしかないと思います。

犯罪よりも事故が心配

ライドシェアのデメリットとして「素性の分からない初対面同士が車の中という狭い空間にいることによる犯罪リスク」が語られますが、事故のリスクについても語られるべきだと思います。

現役タクシードライバーとして東京の公道を走っていて思うのは、「いつ自分が事故を起こしてもおかしくない」ということ。

東京の道路は交通量が多いだけでなく、一般車、タクシー、バス、トラック、また、普段運転に慣れていないサンデードライバーやレンタカーを運転しているドライバーもいます。

道路の左側には路上駐車の車が並んでいますし、オーバーパス、アンダーパス、右折・左折専用レーンなどがあるので、車線変更を頻繁にしなければなりません。

更に、車だけでなく街には歩行者が溢れかえっていますし、ミラーや巻き込み確認では見えないような死角から自転車やキックボードが突っ込んできますからね…

ですから、毎回出庫前に「今日も無事に帰ってこれますように…」とお祈りしています。

実際、二種免許取得のために教習所に通いなおし、授業や路上教習で散々安全な走行について叩き込まれ、実際の路上でも交通事故を頻繁に目の当たりにしているタクシードライバーの事故が頻繁に起きているのが現状です。

まとめ

日本でのライドシェア解禁について、現役タクシードライバーとして率直な意見を書きました。

私はタクシードライバーなので、自分が「ライドシェア反対派」の立場を取ってしまうことに対する自覚はあります。

しかし、その一方で、ライドシェア解禁派の方の多くは、「タクシー業界への誤解や偏見」「タクシー嫌い」というバイアスがかかっているのも事実。

今回、ライドシェアについて記事を書いて思ったことは、政治家も含めたいろいろな立ち場の人が、日本の交通の未来を本気で考え、自分の立場や利権などを除外して徹底して議論すべきだということです。

ただ、政治家がライドシェアを叫び始めたので、たいした議論もないまま解禁される可能性が高いのが現状でしょうね…

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